先負の葬儀は避けるべき?六曜の意味と日取りの決め方

葬儀

故人様とのお別れの儀式である葬儀は、滞りなく、そして心を込めて執り行いたいものです。その準備の第一歩となる日取りを決める際、ふとカレンダーに記載された「六曜」の文字が目に入り、手が止まってしまったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

「先負の日に葬儀を予定しているが、本当に大丈夫だろうか」「先負の葬式時間は午前と午後で意味が違うと聞いたけれど、どうすれば…」「そもそも葬儀は午前中が先負だと凶ですか?」といった、具体的な疑問や漠然とした不安が心をよぎるかもしれません。

特に、友引の葬儀は避けるべきという話は広く知られていますが、一方で大安の葬式は良いのか、あるいは葬式を仏滅、赤口、先勝に行うことについてはどう判断すれば良いのか、迷いは尽きないところです。さらに、そもそも宗教的に葬儀をしてはいけない日はいつなのか、告別式ではなく先負にお通夜をするのはどうなのか、といった根本的な点も気になります。

この記事では、そうした六曜にまつわるあらゆる疑問を解消するため、お葬式のダメな日をカレンダー2025年も見据えながら、葬儀の日取りと六曜の基本的な関係性から、それぞれの詳しい意味、そして実際の日程調整における具体的な注意点まで、一つひとつ丁寧に分かりやすく解説していきます。

この記事を最後までお読みいただくことで、六曜に関する正しい知識を身につけ、自信を持って葬儀の日取りを決定できるようになります。

この記事を読むことで、以下の点について理解を深めることができます

  • 先負の日に葬儀を執り行う際の考え方がわかる
  • 六曜それぞれの意味と葬儀との関係性が理解できる
  • 葬儀の日取りを決める上での注意点が明確になる
  • お通夜や法事と六曜の関わりについて知れる

葬儀を先負に行うのは問題ない?六曜との関係

  • 葬儀をしてはいけない日はいつ?
  • 先負の葬式における時間の考え方
  • 葬儀は午前中が先負だと凶ですか?
  • 先負にお通夜をするのはどうですか?
  • 友引に葬儀を避けるべきとされる理由

葬儀をしてはいけない日はいつ?

まず最も大切な結論からお伝えすると、宗教上の理由において「葬儀をしてはいけない日」というものは一切存在しません。

多くの方が気にされる六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)は、鎌倉時代から室町時代にかけて中国から伝わったとされる、時刻の吉凶を占うための考え方が元になっています。これは日本の神道や仏教とは異なるルーツを持つ民間信仰であり、あくまで生活の中の縁起担ぎとして暦に記されるようになりました。

日本の葬儀の大多数は仏教式で執り行われますが、その仏教の教えでは、故人を偲び、極楽浄土への旅立ちを祈ることに、日の吉凶は関係ないとされています。実際、浄土真宗のように、教義の中で明確に「日の吉凶に惑わされるべきではない」と示している宗派もあります。

したがって、どの六曜の日に葬儀を行っても、宗教的には全く問題ないのです。

ただし、慣習として唯一注意が必要なのが「友引」の日です。これは宗教的な理由ではなく、後述する社会的な慣習から、全国の多くの火葬場が休業日と定めているためです。火葬ができない以上、告別式も行えないため、結果として「友引の日は葬儀ができない」という状況が生まれています。これはあくまで物理的な理由によるものです。

先負の葬式における時間の考え方

先負(せんぶ、せんぷ、さきまけ)の日に葬儀を執り行うことは、全く問題ありませんのでご安心ください。

先負は「先んずれば即ち負ける」という意味合いを持ち、急いで物事を進めたり、公事や訴訟、契約といった勝負事を始めたりすることは避けるべき日とされています。何事も慌てず、平静を保ち、控えめに行動するのが良い日という考え方です。

時間帯については「午前は凶、午後は吉」とされており、大切な用事は午後から行うのが良い、とされています。

先負(せんぶ・さきまけ)とは

  • 意味:先んずれば即ち負ける。万事において平静を保つのが良い日。
  • 適したこと:慌てず、控えめに行動すること。
  • 避けるべきこと:急用、公事、訴訟、契約など。
  • 時間帯の吉凶:午前は凶、午後は吉。

しかし、これらの考え方はあくまで日常生活の行動指針です。故人を偲び、安らかな旅立ちを祈る葬儀は、勝負事や急用には全く当てはまりません。ですから、先負が持つ本来の意味を葬儀に結びつけて気にする必要はないのです。

とは言え、ご親族の中には六曜を重んじる方がいらっしゃるかもしれませんし、地域の慣習が根強く残っている場合もあります。もし、関係者への配慮からどうしても気になるという場合は、先負の時間帯の吉凶に倣い、午後に告別式や火葬の時間を設定することも一つの選択肢です。ただし、これは絶対的なルールではなく、あくまで関係者の心情に寄り添うための配慮であり、ご遺族や遠方からの参列者のご都合を最優先することが何よりも大切です。

葬儀は午前中が先負だと凶ですか?

前述の通り、先負の午前中が「凶」とされるのは勝負事や急用に関してのことです。したがって、葬儀を午前中に行うことが「凶」である、縁起が悪い、といった考え方は本来当てはまりません。

故人様との最後の時間を大切に過ごし、安らかにお見送りする儀式に、六曜の吉凶を持ち込むことは、仏教の観点からも本質から外れた考え方と言えます。最も尊いのは、日の吉凶に一喜一憂することなく、心を込めて故人様を供養するそのお気持ちです。

ただ、理屈では分かっていても、ご親族や地域の慣習を無視することは難しい、という現実的な問題もあります。もし関係者の間で六曜に関する意見が分かれてしまった場合は、感情的な対立を避けるためにも、冷静なコミュニケーションが求められます。

まずは「なぜその日取りにしたのか(火葬場の予約状況、親族の都合など)」という具体的な理由を丁寧に説明することが大切です。その上で、「宗教的には問題がないとされている」という客観的な事実を伝えると、多くの方にご納得いただきやすいでしょう。

それでも不安が解消されない、あるいはどう説明すれば良いか分からない場合は、葬儀社の担当者や菩提寺の僧侶といった専門家に相談するのが最善の方法です。経験豊富なプロフェッショナルが、ご状況に合わせた的確なアドバイスをくれたり、必要であればご親族への説明をサポートしてくれたりすることもあります。専門家の言葉を借りることで、安心して日取りを最終決定できるはずです。

先負にお通夜をするのはどうですか?

お通夜を先負の日に行うことにも、もちろん何の問題もありません。告別式以上に、六曜を気にする必要はないと考えて良いでしょう。

そもそもお通夜と告別式では、その目的が少し異なります。告別式が社会的なお別れの儀式であるのに対し、お通夜は、ご遺族やごく親しい方々が故人様に寄り添い、最後の夜を共に過ごすための私的な時間という意味合いが強いものです。

そのため、儀式としての側面が強い告別式や火葬の日取りと比べて、お通夜の日取りで六曜が気にされることは、現実的にほとんどありません。

お通夜の日程を決める際は、六曜を考慮するよりも、以下のような現実的な要素を優先するべきです。

  • 遠方から駆けつけるご親族が到着できる時間か
  • お仕事などを終えた弔問客が参列しやすい時間か
  • 翌日に執り行われる告別式の時間から逆算して、無理のないスケジュールか
  • ご遺族が故人様と心静かに向き合える時間が確保できるか

これらの点を考慮し、関係者にとって最も負担の少ない日時を選ぶことが、故人様にとっても一番のご供養となるでしょう。

友引に葬儀を避けるべきとされる理由

六曜の中で唯一、現代の日本において葬儀の日取りとして明確に避けられる傾向があるのが「友引」です。その背景には、言葉の解釈と社会的なインフラの問題という、二つの大きな理由が関係しています。

第一の理由は、「友を引く」という字面から生まれた迷信です。この言葉の響きが「故人様が親しい友人を冥界へ連れて行ってしまう(道連れにする)」という縁起の悪いイメージに繋がり、弔事を避けるべき日という慣習が広まりました。もちろん、これは単なる語呂合わせであり、仏教的な根拠は一切ありません。ちなみに、友引の本来の意味は「勝負事で引き分けになる日」であり、友人とは何の関係もありませんでした。

そして第二の、そしてこちらがより決定的な理由ですが、この慣習が社会に定着したことを受け、全国の多くの火葬場が「友引」を施設の休業日やメンテナンス日と定めている点です。

友引に葬儀が難しい2つの理由

  1. 慣習的な理由:「友を引く」という迷信から、縁起が悪いと考える人がいるため。
  2. 物理的な理由:上記の慣習を受け、多くの火葬場が休業日と定めているため、火葬ができない。

火葬場が稼働していなければ、告別式を執り行ってもその日のうちにご遺体を火葬することができません。この物理的な制約が、友引に葬儀が行われない最大の理由となっているのです。

ただし、近年では住民の需要に応え、友引でも稼働している公営・民営の火葬場も一部存在します。また、地域によっては友引を全く気にしない風習の場所もあります。どうしても日程の都合がつかない場合は、葬儀社に相談し、近隣で友引に稼働している火葬場がないか探してもらうことも可能です。

葬儀と先負以外も解説|六曜との関係性

  • 仏滅の葬式は縁起が悪いと言えるのか
  • 大安に葬式を執り行っても良いのか
  • 赤口や先勝の葬式はどう考えれば良い
  • 葬式の日取りはカレンダーで確認しよう
  • お葬式ダメな日をカレンダー2025で紹介

仏滅の葬式は縁起が悪いと言えるのか

「仏滅」は、「万事に凶」とされる六曜の中で最も縁起の悪い日として知られ、結婚式などの慶事は特に避けられる傾向にあります。しかし、葬儀に関しては全く問題なく、むしろ故人を送り出す儀式に適した日だと考える見方さえ存在します。

その理由は、仏滅の語源にあります。仏滅は元々「物滅」と書かれており、「一度すべての物事が滅び、新しく物事が始まる日」と解釈されていました。このことから、故人様との現世でのお別れを意味し、新たな世界(来世)への旅立ちを象徴する日として、葬儀と結びつけて考えられるようになったのです。

また、「仏」という漢字が使われているため、仏事と何か深い関係があるように誤解されがちですが、これは後から当てられた漢字であり、仏教の教えとは全く関係がありません。

現実的なメリットとして、仏滅は慶事が避けられる日であるため、結婚式場などと競合することがなく、斎場や火葬場の予約が比較的取りやすいという側面があります。急なご不幸で日程調整が難しい場合や、友引明けで火葬場が混雑している場合など、仏滅を候補に入れることで、かえってスムーズに葬儀の準備を進められる可能性があります。

大安に葬式を執り行っても良いのか

「大安」は「大いに安し」という意味で、「万事に吉」とされる六曜の中で最も縁起の良い日です。お祝い事を行うには最良の日とされているため、その明るいイメージから、葬儀のような厳かな弔事を行うことに強い抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、これまで何度も述べてきた通り、六曜と仏教は無関係です。したがって、大安に葬儀を執り行っても、宗教上はもちろん、慣習上も何ら問題はありません。大切なのは、故人様を心から悼み、感謝の気持ちを伝えることであり、日の吉凶にこだわることではありません。

ご遺族やご親族の多くが集まりやすい日が大安であったり、火葬場の予約状況などから大安が最適な日取りとなったりした場合は、ためらうことなくその日に葬儀を行って大丈夫です。故人様が安らかに旅立つことを願う日、という意味で「佳き日」と捉えることもできるでしょう。

もし、周囲の目が気になるという場合は、「六曜と仏教は関係がないので、大安に葬儀を行うことは全く問題ないそうです」と、客観的な事実として共有しておくと、無用な誤解や心配を避け、皆様に安心して参列していただけるでしょう。

赤口や先勝の葬式はどう考えれば良い

先負や友引、仏滅、大安以外の「赤口」と「先勝」についても、葬儀を行う上で特に気にする必要はありません。それぞれの意味を正しく理解しておけば、より安心して日取りを決められます。

赤口(しゃっこう・しゃっく)

赤口は、陰陽道における「赤舌日(しゃくぜつにち)」という凶日に由来します。「赤」という字が血や火といった災いを連想させるため、特に火の元や刃物には注意すべき日とされ、お祝い事には向かないと考えられています。ただし、一日のうちで唯一、午の刻(午前11時頃から午後1時頃まで)だけは吉とされています。葬儀は弔事であり、お祝い事ではないため、赤口の日に行っても差し支えありません。

先勝(せんしょう・さきがち)

先勝は「先んずれば即ち勝つ」という意味を持ち、物事を早めに、積極的に行うのが良いとされる日です。時間帯としては「午前が吉、午後が凶」とされており、先負とは正反対の意味合いを持っています。これも訴訟や契約などの勝負事に関する考え方であり、葬儀の儀式に直接影響するものではありません。午前・午後どちらの時間帯に葬儀を行っても、全く問題ないのです。

以下の表に、六曜それぞれの意味と葬儀との関連性をまとめました。日取りを検討する際の参考にしてください。

六曜 読み方 意味 葬儀との関連
先勝 せんしょう 先んずれば勝つ。午前が吉、午後が凶。 全く問題ない。
友引 ともびき 勝負なしの引き分け。友を引くという迷信がある。 多くの火葬場が休業するため、避けるのが一般的。
先負 せんぶ 先んずれば負ける。午前が凶、午後が吉。 全く問題ない。
仏滅 ぶつめつ 万事に凶。物事が滅び新たに始まる日。 全く問題ない。むしろ適しているとの考え方もある。
大安 たいあん 万事に吉。一日中、縁起が良い。 全く問題ない。
赤口 しゃっこう 正午頃のみ吉、他は凶。火や刃物に注意。 全く問題ない。

葬式の日取りはカレンダーで確認しよう

これまで解説してきた通り、葬儀の日取りを決める上で六曜を過度に気にする必要はありません。現実的には、友引の日を避けることさえ考慮すれば、あとは他の要素を優先して決めていくことになります。

葬儀の日取りは、六曜という一つの要素だけで決めるのではなく、様々な事情を総合的に考慮して、パズルのように組み合わせて決定することが大切です。

葬儀の日取りを決める際の優先順位

  1. 火葬場の空き状況の確認と予約:何よりも最優先すべき事項です。ここが決まらないと他の全てが決まりません。
  2. 遺族・親族の都合調整:喪主や近親者、遠方の親族などが参列できる日程を確認します。
  3. 菩提寺(僧侶)の予定確認:お付き合いのあるお寺がある場合、僧侶のスケジュール確認も不可欠です。
  4. 斎場(葬儀式場)の空き状況の確認と予約:火葬の日程と連動させて、通夜・告別式を行う式場を確保します。
  5. その他の要素:ご遺体の安置状況、法律(死後24時間は火葬不可)、友引などの慣習。

ご逝去から葬儀までの流れは非常に慌ただしく、ご遺族だけでこれら全てを調整するのは大変な負担となります。まずは信頼できる葬儀社に速やかに連絡し、プロのアドバイスを受けながら一つひとつ進めていくのが最も確実でスムーズな進め方です。葬儀社の担当者は、カレンダーを見ながら火葬場の空き状況を確認し、ご遺族の希望を最大限に尊重した最適な日取りを提案してくれます。

お葬式ダメな日をカレンダー2025で紹介

繰り返しになりますが、宗教的に「お葬式がダメな日」は存在しません。しかし、多くの火葬場が休業日となる「友引」は、事実上、葬儀が難しい日となります。

葬儀の日程を事前に検討される際の参考として、2025年の友引の日をカレンダー形式でご紹介します。特に連休や年末年始と重なる場合は、火葬場がさらに混雑する可能性があるため注意が必要です。

2025年 友引カレンダー
友引の日
1月 5(日), 11(土), 17(金), 23(木), 29(水)
2月 4(火), 10(月), 16(日), 22(土), 28(金)
3月 6(木), 12(水), 18(火), 24(月), 30(日)
4月 5(土), 11(金), 17(木), 23(水), 29(火)
5月 9(金), 15(木), 21(水), 27(火)
6月 2(月), 8(日), 14(土), 20(金), 26(木)
7月 2(水), 7(月), 13(日), 19(土), 25(金), 31(木)
8月 6(水), 12(火), 18(月), 24(日), 30(土)
9月 5(金), 11(木), 17(水), 23(火), 29(月)
10月 5(日), 11(土), 17(金), 23(木), 29(水)
11月 4(火), 10(月), 16(日), 22(土), 28(金)
12月 4(木), 10(水), 16(火), 22(月), 28(日)

これらの日に葬儀(特に火葬)を計画する場合は、必ず事前に葬儀社を通じて、利用を検討している火葬場が稼働しているかどうかを確認することが不可欠です。

葬儀を先負に行う際のポイントまとめ

この記事では、先負の日の葬儀に関する疑問を中心に、六曜と葬儀の日取りについて詳しく解説しました。最後に、全体の要点を箇条書きでまとめます。

  • 先負の日に葬儀を行うことは宗教的にも慣習的にも全く問題ない
  • 六曜は中国由来の民間信仰であり仏教の教えとは無関係
  • 葬儀で最も大切なのは日の吉凶ではなく故人を偲び供養する気持ち
  • 先負は「先んずれば負け」を意味し勝負事などを避ける日
  • 故人を偲ぶ葬儀は勝負事ではないため先負の意味は当てはまらない
  • 先負の日の時間帯は「午前が凶、午後は吉」とされる
  • これも葬儀には関係なく午前中に執り行っても差し支えない
  • 親族への配慮で気になる場合は午後に時間を設定するのも一案
  • お通夜を先負の日に行うことにも何の問題もない
  • 葬儀の日取りで唯一注意が必要な六曜は「友引」
  • 友引は「友を引く」という迷信から葬儀が避けられる傾向にある
  • 多くの火葬場が友引を休業日としていることが最大の理由
  • 仏滅の葬儀も問題なく「物事が新しく始まる日」と良い解釈もできる
  • 大安の葬儀も全く問題なくご遺族の都合を優先して良い
  • 葬儀の日取りは六曜よりも火葬場の予約状況を最優先に考える
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