葬儀の供花の値段相場|個人・連名・親族の場合やマナーも解説

葬儀

突然の訃報を受け、故人を偲び、最後のお別れの気持ちを形で表したいと考えたとき、多くの方が「供花(きょうか・くげ)」を贈ることを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、いざ手配しようとすると、多くの方がその方法や費用について戸惑われるのが実情です。

供花は一基いくらが値段の目安なのか、個人の供花の相場はどの程度なのか、また、兄弟姉妹や孫一同、あるいは親しい友人一同で贈る場合の相場や名札の書き方はどうすればよいのか。疑問は次々と湧いてきます。

さらに、葬儀の花はどこに頼むのが最も適切で、具体的な葬儀の生花の注文の仕方はどう進めれば良いのか。お通夜に間に合わせるためのマナーや、宗教・宗派によって避けるべき葬式の花、つまりダメな花はあるのかなど、知っておくべきことは多岐にわたります。特に近年増えている家族葬においては、親族はどこまで供花を出すべきか、そもそも贈っても良いものか悩むケースも少なくありません。そして、根本的な問いとして、葬儀の供花代は誰が払うのかという点も、はっきりと理解しておきたいところです。

この記事では、こうした供花に関するあらゆる疑問を一つひとつ丁寧に解消し、あなたがマナー違反や失敗で後悔することなく、心のこもったお悔やみの気持ちを故人とご遺族に届けられるよう、値段の相場から手配の方法、知っておくべきマナーまで、網羅的かつ分かりやすく解説していきます。

この記事で解決できること

この記事を読むことで、以下の点についての理解が深まります。

  • 関係性や贈り方による供花の値段相場
  • 供花をスムーズに手配するための依頼先と注文方法
  • 相手に失礼にならないための供花に関するマナー
  • 葬儀の形式や宗教によって異なる注意点

葬儀の供花、値段の相場を解説

  • 供花は一基いくらが値段の目安?
  • 個人の供花の相場を紹介
  • 孫一同で出す葬式の花の値段
  • 供花を友人一同で贈る相場
  • 葬儀の供花代は誰が払うもの?

供花は一基いくらが値段の目安?

供花を贈る際にまず知っておきたいのが、基本的な単位と値段の目安です。供花は「基(き)」という単位で数え、スタンドなどにアレンジされた花を一つ贈ることを「一基」と表現します。そして、同じものを左右対称に一対で贈る場合は「一対(いっつい)」と呼びます。

結論として、供花の値段は一基あたり15,000円から30,000円程度が最も一般的な相場です。この価格帯であれば、個人・法人問わず多くのケースに対応できます。もちろん、これより価格を抑えたものや、法人関係などで贈られるさらに高額で豪華なものも存在します。

値段による違いは、主に以下の3つの要素に反映されます。

  • 花の種類:胡蝶蘭や大輪のユリといった高価な花材が多く使われるほど、値段は上がります。
  • 花の量:使用される花の総量や密度が多いほど、豪華になり価格も高くなります。
  • 全体のサイズ:アレンジメントの高さや幅といった、全体のボリューム感も価格を左右する重要な要素です。

例えば、15,000円の供花は、菊やカーネーション、季節の白い花などを中心に、凛とした清らかな印象にまとめられることが多いです。一方、30,000円の供花になると、胡蝶蘭やユリ、トルコギキョウなどがふんだんに使われ、高さや横幅も出て、祭壇を一層華やかに彩る存在感を放ちます。

価格帯別の供花の内容目安

価格帯(一基あたり) 主な花材 特徴
15,000円~20,000円 菊、カーネーション、季節の花など 最も一般的な価格帯で、個人・連名問わず選ばれます。大きさや見た目のバランスが良く、弔意を示すのに十分なボリュームです。
20,000円~30,000円 ユリ、トルコギキョウなどが加わる やや豪華な印象になり、ボリューム感も増します。故人と特に親しかった方や、親族、小規模な法人などが選ぶことが多い価格帯です。
30,000円以上 胡蝶蘭、高級なユリなどが加わる 非常に豪華で見栄えがするため、祭壇でひときわ目を引きます。親族一同や企業、団体などが贈る場合に選ばれることが多いです。

かつては、左右一対で贈ることが正式なマナーとされていましたが、現代ではその考え方も変化しています。葬儀会場のスペースが限られていたり、他の供花とのバランスを考えたりする必要があるため、現在では一基で贈るケースが主流です。どちらで贈るべきか迷った場合は、一基で手配すれば失礼にあたることはありませんので安心してください。

個人の供花の相場を紹介

友人や知人、会社の同僚といった個人として供花を贈る場合、相場は一基あたり15,000円から20,000円が最も一般的です。この価格帯であれば、祭壇に飾られた際に他のお花と並んでも見劣りすることがなく、弔意を十分に表現できます。また、ご遺族に香典返しなどで過度な気を遣わせてしまうこともない、非常にバランスの取れた金額と言えるでしょう。

もちろん、この金額はあくまで目安であり、故人との関係性の深さによって柔軟に考えるべきです。

  • 親しい友人や恩師へ:生前大変お世話になった方や、特別に親しい間柄であった場合は、感謝の気持ちを込めて20,000円以上の供花を選ぶ方もいます。
  • 会社の同僚や知人へ:一般的なお付き合いであれば、15,000円の供花で十分にお悔やみの気持ちは伝わります。

一方で、あまりに高額すぎる供花は、かえってご遺族の負担になりかねないという点も心に留めておく必要があります。高価な供花をいただくと、「相応のお返しをしなければ」とご遺族が恐縮してしまう可能性があります。葬儀後の大変な時期に、余計な心労をかけさせない配慮も大切です。

最も重要なのは金額の大小よりも、故人を悼む真摯な気持ちです。自身の予算と故人との関係性を静かに思い返し、無理のない範囲で心のこもった供花を選ぶことが何よりも大切になります。

孫一同で出す葬式の花の値段

祖父母へのお悔やみの気持ちとして、お孫さんたちが連名で「孫一同」として供花を贈ることは、故人への深い愛情と敬意を示す素晴らしい方法です。このように連名で贈る場合、全体の相場は30,000円から50,000円程度が目安となります。場合によってはそれ以上の、より立派な供花が選ばれることもあります。

連名で贈ることには、大きなメリットが二つあります。一つは、一人ひとりの金銭的な負担を抑えながら、全体として非常に見栄えのする立派な供花を贈れる点です。例えば、孫が5人いる場合、50,000円の供花を選んでも一人あたりの負担は10,000円で済みます。個々人が15,000円の供花を出すよりも、一同として豪華なものを一つ贈る方が、祭壇全体としての統一感や見栄えも良くなることがあります。

もう一つのメリットは、「孫一同」として弔意を示すことで、親族間の絆や故人への共通の想いを形にできる点です。ご遺族にとっても、孫たちが心を一つにしてくれたことは、大きな慰めとなるでしょう。

「孫一同」で手配する際のポイント

  • 代表者を決める:誰か一人が取りまとめ役となり、連絡や注文、集金などを担当するとスムーズです。
  • 事前に相談する:参加する孫全員で、予算や名札の表記について事前に相談し、合意を形成しておくことがトラブル回避の鍵です。
  • 名札の表記を確認する:一般的には「孫一同」としますが、「〇〇家 孫一同」としたり、全員の名前を列記(年長者から順が基本)したりする場合もあります。葬儀社と相談して決めましょう。

金額を決める際は、お孫さんたちの間で事前にしっかりと話し合うことが不可欠です。誰か一人が代表して、参加人数や一人あたりの予算を確認し、全員が納得できる形で手配を進めるのが望ましい形です。

供花を友人一同で贈る相場

故人の学生時代の友人や会社の同僚、趣味の仲間などが集まり、「友人一同」や「株式会社〇〇 営業部一同」といった形で連名で供花を贈ることも一般的です。この場合の相場は、一基あたり15,000円から30,000円程度がよく選ばれます。

「個人として香典を出すだけでなく、何か別の形でも弔意を示したい」という気持ちに応える、非常に理にかなった方法です。連名で贈る際の考え方は、「孫一同」の場合と同様で、一人あたりの負担を軽減しつつ、まとまった形でお悔やみの気持ちを表現できます。参加人数にもよりますが、一人あたり3,000円から5,000円程度の負担で、十分な供花を手配することが可能です。

手配を進める上での注意点も同じく、代表者を立てることが円滑に進めるための第一歩です。代表者は参加者を募り、予算や名札の表記(「友人一同」「〇〇大学 平成〇年卒 有志」など)について事前にしっかりと合意形成を図ることが大切になります。

特に職場関係で贈る場合は、誰に声をかけるか(正社員のみか、パート・アルバイトも含むかなど)、部署名や会社名をどう表記するかなど、内部でのルールや慣例を確認しておくとより丁寧です。誰が費用を立て替えるのか、いつまでにどうやって集金するのかといった事務的な連絡も明確にし、後のトラブルを防ぎましょう。友人や同僚として、まとまった形で弔意を示すことは、ご遺族にとって大きな心の支えとなります。

葬儀の供花代は誰が払うもの?

葬儀の供花代の負担者については、明確なルールが存在します。それは、原則として「供花を贈る側(贈り主)」が全額を負担するというものです。供花は、香典とは別に、故人への弔意や哀悼の意を表すために、有志が自らの意思で贈るものです。

したがって、友人、会社の同僚、親戚などが故人を偲んで供花を手配した場合、その費用は手配した当人たちが支払います。「〇〇一同」といった連名で贈る場合は、参加者全員で費用を分担して支払うことになります。葬儀が終わった後に、喪主やご遺族から供花代を請求されることは一切ありません。

ただし、ご遺族側が供花を用意するケースも存在します。これは、参列者からいただく供花とは別に、祭壇の装飾の一部として、あるいは故人に手向ける花として、喪主やご遺族が自らの費用で葬儀社に依頼するものです。この場合は、当然ながら喪主やご遺族が費用を負担します。

基本的な認識として、「供花は故人と縁のあった方が、お悔やみの気持ちとして任意で贈るものであり、その費用は贈り主が支払う」と覚えておけば間違いありません。この原則を理解していれば、費用負担に関する心配なく、純粋な気持ちで供花を贈ることができます。

葬儀の供花の値段と手配・マナー

供花の値段相場を理解したら、次に重要になるのが、実際に手配する際の実践的な知識とマナーです。誰に、どのように注文し、いつまでに届ければよいのか。また、葬儀の形式によっては特別な配慮が必要になることもあります。ここでは、失敗なくお悔やみの気持ちを伝えるための具体的な手配方法と、知っておくべきマナーについて詳しく解説します。

  • 葬儀の花はどこに頼むのが最適か
  • 葬儀で生花を贈る際の注文の仕方
  • お通夜に供花を贈る時のマナー
  • 家族葬で親族はどこまで供花を出す?
  • 葬式で贈ってはいけないダメな花

葬儀の花はどこに頼むのが最適か

供花を手配する際の主な依頼先は、「葬儀社」「生花店」「インターネットサイト」の3つが挙げられます。それぞれに利点と注意点があるため、ご自身の状況や故人との関係性に応じて最適な依頼先を選ぶことが大切です。

結論から言うと、最も確実で失敗が少ない方法は、その葬儀を執り行っている「葬儀社」に直接依頼することです。なぜなら、葬儀社は斎場の大きさや祭壇のデザイン、宗教・宗派による花のしきたり、すでに届いている他の供花との色合いやボリュームの統一感をすべて把握しているからです。外部からの持ち込みルールなども熟知しているため、名札の間違いや設置場所のトラブルといった心配もほとんどなく、最もスムーズに手配が完了します。

もし、故人の好きだった特定の花を入れたいなど、デザインにこだわりたい場合は、懇意にしている「生花店」に相談するのも良い選択です。ただし、その場合は必ず事前に葬儀社へ**「外部の生花店から供花を持ち込んでも良いか」を確認する**必要があります。斎場によっては指定業者以外の供花の持ち込みを禁止していたり、持ち込み料が発生したりするケースがあるため、この確認は必須です。

依頼先ごとのメリット・デメリット

依頼先 メリット デメリット
葬儀社 ・斎場のルールや統一感を完璧に把握している
・名札や設置場所の間違いがほぼない
・注文から設置までワンストップで確実
・花のデザインを細かく指定できない場合がある
・提携先の花屋に限定されるため選択肢が少ない
生花店 ・独自のデザインや希望の花材を伝えやすい
・故人の人柄やイメージに合わせた花を選べる
・付き合いのある店なら安心して任せられる
・自分で斎場の場所や日時、喪主名などを正確に伝える必要がある
・斎場への持ち込み可否を自分で確認しなければならない
インターネット ・24時間いつでも自宅から注文できる
・複数のサイトで価格やデザインを比較しやすい
・比較的安価な場合がある
・実物を確認できず、写真とイメージが違う可能性がある
・急な依頼に対応できないことがある
・名札の誤字や配送トラブルのリスクが相対的に高い

「インターネットサイト」は手軽で価格比較がしやすいという利点がありますが、急な訃報には対応が間に合わないこともあります。また、細かなニュアンスが伝わりにくく名札の表記ミスにつながる可能性も否定できません。確実性を最優先するなら、やはり葬儀社への依頼が最も安心できる選択肢と言えるでしょう。

葬儀で生花を贈る際の注文の仕方

葬儀で生花、つまり供花を注文する際は、間違いやご遺族への負担が生じないよう、手順を踏んで慎重に進めることが重要です。訃報に接すると動揺しがちですが、一度落ち着いて、必要な情報を整理してから連絡を取りましょう。

まず、手配を始める前に必ず確認すべき最も大切なことは、**「ご遺族が供花を辞退されていないか」**という点です。訃報の案内状や連絡に「誠に勝手ながら 御香典 御供花の儀は固くご辞退申し上げます」といった一文がないか、必ず確認してください。この意向を無視して贈ることは、かえってご遺族の負担を増やすことになり、深刻なマナー違反となります。

供花を贈っても問題ないことが確認できたら、以下の手順で注文を進めます。

供花注文の基本ステップ

  1. 依頼先を決めて連絡する
    前述の通り、まずは葬儀を担当している葬儀社に連絡するのが最も確実です。葬儀社が不明な場合は、葬儀が行われる斎場名で検索し、連絡先を調べて問い合わせましょう。
  2. 必要な情報を正確に伝える
    電話やウェブの注文フォームで、以下の情報を間違いのないよう明確に伝えます。なぜなら、これらの情報が一つでも欠けたり間違っていたりすると、正しく届けることができないからです。

    • 葬儀の日時と場所:通夜・告別式の日時、斎場名、住所を伝えます。
    • 故人様のお名前:フルネームを漢字も含め正確に伝えます。
    • 喪主様のお名前:同姓の葬儀が複数ある場合に備え、喪主名も伝えると確実です。
    • 予算:希望する供花の価格帯を伝えます。
    • 名札に記載する名前:後述する表記方法に沿って、正式名称を伝えます。
    • 送り主の連絡先:万が一の確認事項に備え、ご自身の名前と電話番号を伝えます。
  3. 支払い方法を確認し、手続きを行う
    葬儀社や生花店の指示に従って支払いを行います。一般的には、後日斎場で直接支払うか、銀行振込やクレジットカード決済となります。領収書が必要な場合は、その旨も忘れずに伝えましょう。

特に名札の表記は、弔意を示す上で非常に重要な部分です。会社名であれば「(株)」などと略さず正式名称を、連名の場合は序列などを考慮し、細部まで明確に伝えることを心がけましょう。

お通夜に供花を贈る時のマナー

お通夜に供花を贈る際は、届けるタイミングが非常に重要です。適切なタイミングで届けることで、ご遺族や葬儀社のスタッフに余計な手間をかけることなく、お悔やみの気持ちをスマートに伝えることができます。

理想的なのは、**「お通夜が始まる2~3時間前まで」**に斎場に届くように手配することです。葬儀社のスタッフは、通夜の準備時間中に、届いた供花の名札を確認し、故人との関係性に基づいて祭壇周りに配置する順序を決め、並べる作業を行います。この準備時間内に届いていれば、全体のバランスを考慮した上で、適切な場所に飾ってもらえます。

逆に、通夜の開始直前や開始後に届いてしまうと、スタッフは会葬者の対応に追われており、すぐに飾ることができない場合があります。また、すでに供花の配置が完了しているため、後から届いたものをどこに置くかご遺族を悩ませてしまうかもしれません。また、あまりに早く、例えば通夜の前日などに届けるのも、斎場の受け入れ態勢が整っていない可能性や、生花の鮮度を損なう恐れがあるため避けるべきです。

もし、訃報を知るのが遅れるなどして、どうしてもお通夜の開始までに間に合わない場合は、無理に贈る必要はありません。その場合は、翌日の告別式の開始前までに届くように手配を変更すれば問題ありません。それも難しいようであれば、葬儀後にご自宅へお花を贈るという方法もあります。これは「後飾り花(あとかざりばな)」と呼ばれ、四十九日まで飾られる後飾り祭壇にお供えいただくものです。慌てて手配してマナー違反になるよりも、状況に応じた最善の対応を考えることが大切です。

家族葬で親族はどこまで供花を出す?

近年、主流となりつつある家族葬において、親族が供花を贈るべきか、また「どこまでの範囲」の親族が贈るべきか、という点は多くの方が悩む問題です。

家族葬に関する最も重要なマナーは、**「何よりも喪主(ご遺族)の意向を最優先する」**ことです。一言で「家族葬」といっても、その規模や形式は様々です。本当にごく近親者のみで静かに行う場合もあれば、故人と特に親しかった友人を招く場合もあります。そのため、「親族だから贈るべき」という画一的なルールは存在しません。

多くの家族葬では、ご遺族が参列者への返礼品の準備などの負担を減らし、静かに故人を見送ることに集中したいという思いから、香典や供花をすべて辞退されるケースが少なくありません。

したがって、親族であっても、まずは以下のステップを踏むことが不可欠です。

  1. 訃報の連絡を再確認する:「供花辞退」の旨が明確に記載されていないかを、まず確認します。記載があれば、たとえ兄弟姉妹といった近しい間柄であっても、供花を贈るのは控えるのが絶対的なマナーです。
  2. 記載がない場合は、喪主に直接確認する:供花辞退の明確な記載がない場合でも、安心はできません。「親しい親族からのものだけは受け取りたい」と考えている可能性もあれば、「辞退と書くまでもないが、本当は必要ない」と思っている可能性もあります。自己判断で贈ってしまうと、ご遺族の意向に反してしまう恐れがあります。

ご遺族に配慮した確認の仕方(例文)

喪主に問い合わせる際は、相手の負担にならないよう、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

「この度はご愁傷様です。もしご迷惑でなければ、お花を贈らせていただきたいのですが、ご意向はいかがでしょうか?」

「何かとご多忙と存じますので、もし供花をご辞退されているようでしたら、どうぞご遠慮なくお申し付けください」

このように、相手が断りやすいような聞き方をすることで、ご遺族の真意を汲み取ることができます。「どこまでの親族が出すべき」という問いに正解はありません。すべては喪主の考え方次第であるため、必ず意向を確認するステップを踏むようにしましょう。

葬式で贈ってはいけないダメな花

葬儀の場に供える花には、古くからの慣習や宗教的な理由から、一般的に避けるべきとされる種類があります。良かれと思って選んだ花がマナー違反と受け取られないよう、基本的な知識として押さえておきましょう。

主に、以下のような特徴を持つ花は、特別な理由がない限り避けるのが無難です。

  • トゲのある花:バラやアザミ、イバラなど、トゲを持つ花は、殺生や傷、苦しみを連想させるため、仏事全般で古くからタブーとされています。
  • 香りが強すぎる花:ユリの一部(特にカサブランカ)、クチナシ、フリージアなど、香りが非常に強い花は、お焼香の香りを妨げてしまうことや、閉め切った斎場内で気分が悪くなる方がいる可能性への配慮から、避けた方が良いとされています。
  • 派手な色の花:赤やオレンジ、ビビッドなピンクといった、お祝い事を連想させる鮮やかすぎる色は、お悔やみの場にはふさわしくないとされています。供花は白を基調とし、紫、青、淡いグリーンなどの落ち着いた色合いでまとめるのが基本です。
  • 毒を持つ花:彼岸花(曼珠沙華)やスイセン、スズランなど、球根や茎に毒性のある花は、仏様や故人に毒を供えることになると考えられ、仏事では避けられます。

これらの慣習は、故人やご遺族の宗教によっても考え方が異なります。

宗教による供花の違い

  • 仏式・神式:上記の一般的なマナーが当てはまります。白菊や洋花(カーネーション、トルコギキョウなど)を組み合わせたアレンジメントが主流です。神式では榊(さかき)が用いられることもあります。
  • キリスト教式:そもそも祭壇に「供花」を飾るという習慣がありません。お花を贈る場合は、名札を付けずに自宅へ送るか、「献花」用の花(白いカーネーションや菊が一般的)を持参します。カトリックかプロテスタントかによっても細かな慣習が異なるため、事前に教会やご遺族に確認するのが最も確実です。

近年では、故人が生前好きだったという理由で、ご遺族の希望によりバラなどが使われるケースもあります。しかし、それはあくまでご遺族側の意向によるものです。贈り主として供花を手配する際は、こうした慣習を尊重し、オーソドックスで清らかな花材を選ぶのが最も間違いのない選択です。迷った場合は、葬儀社や生花店に「お悔やみ用の供花で」と伝えれば、宗教や地域の慣習に合わせて適切な花を選んでくれます。

葬儀の供花の値段で迷わないために

この記事では、葬儀の供花の値段に関する相場から、具体的な手配方法、知っておくべきマナーに至るまでを網羅的に解説してきました。突然の訃報に際しても、落ち着いて故人への弔意を示せるよう、最後に重要なポイントを改めてまとめます。

  • 供花の値段は一基15,000円から30,000円が一般的な相場
  • 個人で贈る場合の目安は15,000円から20,000円
  • 孫一同や友人一同など連名の場合は少し豪華なものを選ぶ傾向がある
  • 供花代は香典とは別物で贈り主が全額を負担するのが原則
  • 手配は葬儀を担当する葬儀社に依頼するのが最も確実で安心
  • 外部の生花店やネットで手配する際は持ち込み可能か事前に確認する
  • 注文時は故人や喪主の名前、日時、場所などの情報を正確に伝える
  • 名札の表記は会社名や連名の序列など間違いがないよう細心の注意を払う
  • 供花を届けるタイミングは通夜開始の2~3時間前が理想的
  • 家族葬の場合はまず供花を辞退していないかご遺族の意向を確認する
  • 親族であっても自己判断で贈らず喪主に一度問い合わせるのが丁寧な対応
  • トゲのある花や香りの強い花、赤などの派手な色の花は避けるのがマナー
  • キリスト教式では祭壇に供花を飾る習慣がないため注意が必要
  • 最も大切なのは金額の大小ではなく故人を悼み弔意を示す気持ち
  • 手配やマナーで少しでも迷った際は葬儀社に相談するのが最善の策

供花は、故人への最後の贈り物であり、ご遺族の心を慰めるものでもあります。事前に相場やマナーを知っておくことで、いざという時に慌てることなく、故人への感謝と哀悼の気持ちを適切に表現することができるでしょう。この記事が、その一助となれば幸いです。

 

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